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2007年05月20日 14:34に投稿されたエントリーのページです。他にも多くのトピックエントリーがあります。メインページやアーカイブページをご覧下さい。
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インターカルチュラル・ビジネスセンター社
社長 渥美 育子
法則2:絶対軸を心の中に設定する
前回述べたグローバルにビジネスを行うための4つの条件のうち、第3の書き込み自由な絶対軸を心の中に設定する、は日本人にとってとりわけ重要なので、独立した法則としてもう少し説明したい。
日本人には絶対軸を持たない人が圧倒的に多い。軸があってもフニャフニャしていたり、相手によって軸をかえるので、何が基軸か分からなくなっている人が多数である。なぜしっかりした軸がないのか?
* ノーといっても“そこを何とか”と押し切れる人間関係万能、ゆうずうむげの文化、時空をさっと切った時キラリと光る断面に生を凝縮させるような俳句的感性を重んじる文化、に生きている
* 敗戦をもたらした天皇制絶対視への拒絶反応
* カリキュラムどおり学ぶと断片的な知識と情報の寄せ集め人間になってしまう現行の教育制度
* 入社後も上役や会社の方針、顧客の要求に合わせて仕事をする宮仕え生活
いくつも理由をあげることが出来るが、グローバルビジネスの仕方でめざすのは世界中の“いいとこ取り”、つまりBest Practiceを学んで新しい方式を作っていくことにあるので、この際キラリと光る感性と絶対軸の両方を兼ね備えるよう、おすすめしたい。
では、具体的にはどのようにすればよいか?まず空間軸に世界全体、時間軸に5000年をとって、地理と歴史の一体化をはかる。次に各大陸にどのような国が存在するか、およそのところを視覚的にとらえ、また時代区分も概略を頭に入れる。これで準備完了。後は知識や体験のうちこれはと思うものを随時書き込んでいくだけだ。
例1. 世界全体を市場としてみるなら、一番大きい区分はAmericas(北アメリカとラテンアメリカ)、 Asia Pacific(中国を含むアジアとオセアニア)、 E・ME・A(ヨーロッパ、中東、アフリカ)の三極体制。それに次ぐ区分は7大地域(region)である。この中に自分の会社や競合会社の現在の戦略、オペレーションズを想像力を駆使して書き込んでいく。
例2. 日本で、あるいは自分の会社で何かが起きた年に世界では何が起きていたか同時につかむことによって“海外”という垣根をとりはらった理解をしていく。
例3. そのほか、本を読んだり、ニュースを聞いたり、旅行をしたり、何かを発見するたびにエッセンスをこの両軸に沿って蓄積していく。ビジネスケースもどんどん加えていく。
例4. 逆に、物事の説明をしたり、問題の解決をはかりたい時、なるべく時間軸と空間軸に沿って考えたり、行ったりする。
自分がそしゃくした知識、体験、情報を使って“絶対の世界”を構築していくこの手法の効果は絶大だ。
* 自分の意見が鮮明になるばかりか、それを自信を持って表明できるようになる。
* 説明のしかたが正確かつダイナミックになり、コミュニケーションの能力が向上。
* 国内と海外という垣根がなくなり、判断や行動が一元化できる。
* 他の人がなんと言おうと、自分の判断で評価を下すことが出来る。
これらを逆にすると、現在日本人に欠けていると批判されていることばかりだ。そして何より大切なのは、年を重ねるほど一層世界という土壌で自由に発想し、行動し、競争できる実力が身についていくので、他の人たちがお払い箱になる時、グローバルリーダーとして頂点を極めうるという点だろう。
私自身日本で仕事をしてきた25年前までは一生懸命勉強しているにもかかわらず、なぜか成果が上がらず、何が原因かも判らなかった。絶対軸を心の中に設定してからは、グローバリゼーションという人類史上最も新しいわく組み(paradigm)の理解が加速し、背後にある哲学や原理がよく見えるようになった。
法則3〈文化の世界地図〉を共有する。
どの国の人も、現在同じ世界地図を使用しているので、幸いにも地理についての理解を共有し、望めば相手とどこかで出会い、地球規模でビジネスを行う事が出来る。しかし世界の人々の多彩な“心のソフトウェア”を表した地図は存在しなかったので、とりわけ異文化間のコミュニケーションは多くの場合混乱し、ビジネス関係は不当に決裂したりした。(テロ戦争も“心のソフトウェア”を共有できないために起きたといえる。)
もし、地球上の人々の異なる文化のレンズを構成している要素を一望の下に共有できたら――グローバルコミュニケーションのあり方が判り、かなりな混乱を防げるに違いない。
そんな発想を基に、IBC社では次の三つの部分からなる〈文化の世界地図〉を数年かけて作成した。
このカラーの〈文化の世界地図〉は、昨秋設立した子供のグローバル教育をめざすマルチカルチャル プレーイング フィールド社の学習マップ〈地球市民村への10のステップ〉からとったものである。2005年6月、愛知Expoの市民参加プロジェクトで世界を体験する絵本としてパフォーマンスを行うことになった。
(1) 俯瞰図:世界に存在する文化圏の表示
(2) 空間軸:主要民族についての“Cultural Motivators(sm)”と“Cultural deMotivators(sm)”(後述)
(3) 時間軸:主要国の伝統の輪切り(後述)
冷戦終結後、文化のアイデンティティの対立が、政治上のイデオロギーよりも主として民族間の宗教思想の違いに根ざしたコードの相違によって鮮明になってきた。(1)の俯瞰図
“世界の文化的パラダイム”は世界が三つの相異なる規範コード、法的規範(Legal Code)、道徳律(Moral Code)、宗教的規範(Religious Code)、から成り立っていることを明らかにしている。(スペースの都合でアフリカは省略した。)
ではどのようにして3つのコードが出来上がったのか?時間をさかのぼってみるとおもしろいことに素材はみな世界宗教、東洋思想といわれる宗教哲学に帰結する。Legal Codeはキリスト教の新教(Protestantism)を原型としている。人間が神と直接対峙し契約をかわすと、たとえ人間関係や現状が変化しても契約は絶対に守らなければならないという考えが核となっている。主として北米、北ヨーロッパ諸国にLegal Codeの強い国が存在する。一方Moral Codeはアジアでは儒教、ラテンアメリカ及び南ヨーロッパではキリスト教の旧教、つまりカトリック(Catholicism)が原型である。いずれも階層的人間関係中心の社会である。Religious Codeは回教の国、回教文化が圧倒的に強いのが特徴だ。宗教の教えが政治、経済、ビジネスの仕方、生活様式などすべてを支配している。カトリックはその意味でReligious Codeには入らない。中にはオーストラリアのようにLegal-Moral Code混在型の社会もある。
ここで重要なのは、どの国も幾分は他のコードが混じっているのではないかと反駁するよりも、この分け方が簡単で覚えやすく、(a)異文化間ビジネスの過去の多くの失敗例をふせぎ(b)コミュニケーション上のスタイルスイッチを容易にし、(c)グローバル戦略が立てやすくなる、という大きなメリットを持つことだ。
3つの行動律に関する要点は
* コード間に文化の断層がある。
* 異なる世界宗教や代表的東洋思想を原型としているので、コード間の優劣はつけられない。
* 3つのコードにおける明文化された規則(憲法、商法など)と不文律を理解するのが近道だし、グローバルビジネスの成功のカギ。
* コードが違う国でビジネスを行う時には発想のモード転換(=文化のレンズのかけかえ)が必要である。
次号ではケースを紹介したい。
以上
日時: 2007年05月20日 14:34 | パーマリンク
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