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2009年08月10日 11:21に投稿されたエントリーのページです。他にも多くのトピックエントリーがあります。メインページやアーカイブページをご覧下さい。
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多賀 利明
日米経営センター
(フィラデルフィア)
「全国給与(福利・厚生を含む)統計」(National Compensation Survey)」として、労働省は定期的にサーベイを行ない、発表している。2009年3月現在のものが先日集計・発表された。その中の“Employee Benefits Survey”の主な内容は以下の通りである。
1.会社で支給される健康保険
米国では、日本と違って、政府支給の健康保険は(65才以上の高齢者と身体障害者に支給されるメディケアは別にして)勤務先の雇用者が支給する、というのが一応の原則である。この点は日本やカナダを始め、西欧先進諸国すべてとは異なるユニークなものである。
原則は原則として、その実態はどうなっているか。
民間部門では、勤務先の会社から健康保険を支給されている社員・従業員は全体の71%となっている。この中で、特に低賃金の従業員(1時間当り賃金が下から10%以内の人)の場合には、その割合は25%である。逆に、上位10%以内の人は、殆どこの恩恵に授っている。
2.会社から健康保険を支給されているからと言って、その従業員全体がそれを実際に受給している訳ではない。実際にこれを受け取っている人の割合は、全体
の約半数である。
3.健康保険料(プレミアム)のうち、会社の負担分は対象が従業員本人だけの場合はその82%、配偶者・扶養家族全体の場合には71%、となっている。
4.従業員をフルタイムとパートタイムの人とに分けると、健康保険、並びに退職金への積立ては次のような割合となる。
フルタイム パートタイム
健康保険 86% 25%
退職金積立て 76% 40%
5.有給の病気休暇が与えられている従業員の割合は、約60%である。
6.職種別に大きな差異の認められるものがある。健康保険の支給は、サービス産業の従業員の46%となっているのに対し、マネジメント・専門職の人では86%となっている。
7.有給の祭日とバケーションが支給されている人の割合は、それぞれ85%、83%である。
このように、アメリカで人を雇うと、現金で支払う給料・ボーナスの他に、従業員(及び家族)のメディカルケアのコストが余計に掛かる。しかも、その中心である健康保険料が(家族の場合で)年間14,000ドルにもなっている上、保険会社による値上げ率が近年加速化し、一般物価上昇率の4倍にも5倍にもなっている。
現在オバマ政権の中心的政策で、議会でも連日取り上げ推進されているのが、「米国ヘルスケアシステム改革」の動きである。どこをどう改革すべきか。いろいろなアイデア・プランが提案されている。システム改善(例えば、米国民6人中1人が健康保険を持っていない)には大きなコストが掛かる。このヘルスケアの問題を何とかしないと、米国政府の財政は破綻する。それではそのコストをどこから調達(租税)するか。ここで目が向けられているところの1つが、米国市場で本来健康保険を支給すべき、とされている企業部門である。従業員への健康保険料の支払いは税引前、つまりコスト扱いとなっている。これに課税しようか、健康保険の支給をしない企業には罰金のFeeを徴収しようか、という話である。米国市場で事業を行なう企業としては、この点これから注目を要するところである。
これに関連して、もっと大きな問題は、日米企業間の競争力の問題である。
米国企業では従業員の健康保険を企業が支払っている。日本企業ではそれは政府の問題であって、これを支払っていない。それにも関わらず企業の収益率は一般的に米国企業の方が高い。社員の健康保険料を支払う必要のない日本企業の利益率の方が低い。これは基本的な調査・研究を必要とする大きな問題である。
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日時: 2009年08月10日 11:21 | パーマリンク
