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2009年11月13日 00:35に投稿されたエントリーのページです。他にも多くのトピックエントリーがあります。メインページやアーカイブページをご覧下さい。
« Compilation Report(財務諸表作成) とReview Report(レビューレポート)の公開草案:山口 猛 | メイン | ベキ分布と想定 - 塚越 至 »日本の中小企業は、今。:安久和伸
昨年9月のリーマンショックに端を発した世界同時不況は米国経済にも大きな影響を及ぼし、最悪期は脱したというものの、はっきりとした回復基調に向かっているという実感は薄い。そんな状況下、マクロ経済の話題ばかりがニュースのヘッドラインを飾り、特に日本の経済を支えている中小企業のニュースは、米国ではあまり入ってこない。仕事柄、日米の中小企業と頻繁にコンタクトしており、その現状を目の辺りに見ているので、その状況をお伝えしようと思う。 ここで取り上げるのは、日米のMachine Tool Industry, つまり、日本の工作機械メーカー、機械部品メーカーなどの現状である。
その前に、少し、米国の機械、部品メーカーの状況について、最近見聞きした情報をお伝えしたいと思う。先月、シカゴ近郊で開催された機械関係の展示会に出向いたとき、米国中小企業メーカーのオーナー何人かと情報を交換したが、ほとんどの会社が、昨年のピーク時に比べて20-30%ダウンくらいの受注状況で、深刻な顔をして会社の将来を心配しているオーナーは見かけなかった。 MarineやMilitaryなどからの受注が多いある西海岸の企業などは、昨年の好況期とほぼ同レベルというほとんど影響を受けていない会社すらあり、体力的にまだ、十分余裕があると感じた次第。
それに引き換え、日本の機械関係の中小メーカーの状況はというと、惨憺たるもので、未だに昨年のピーク時の60-70%ダウンというところが大半で、どこの企業もこれほどまでの落ち込みは創業以来始めてという現状である。こういう状況が今年の初めから続いているわけで、これでよく企業を維持出来ているもんだと思われるだろうが、話を聞いてみると、これにはそれなりの理由があった。ひとつは、昨年秋まで続いた好景気時に蓄えた内部留保と、もうひとつは政府からの助成金である。
昨年末に大手自動車会社による派遣社員切りの問題がマスコミで大きく報道されたのは、まだ、記憶に新しい。最近は、大手自動車会社と一部の一次下請けくらいまでは、残業を再会するくらいまで回復しつつあるようだが、まだ生産が60-70%も落ち込んでいる大半の中小メーカーでは、派遣社員を切るだけではとても間に合わず、今年の春頃から週休3日もしくは4日の勤務体制をしき、生産量を大幅にダウンさせ、未だに継続している状況である。とはいっても、会社自体は体外的な面から、週に3日も4日も閉めるわけにもゆかないので、一応、月曜日から金曜日までオープンして、社員が交代で休んだり、営業幹部だけが出社したりしているのが現状である。
週休3日や4日では、どうやって社員は生活してゆくのだろうかと思われるだろうが、会社側から政府に申請をして一定の条件を満たせば、政府から給与の60%くらいの助成金が支給されるとのこと。 そのほかにも、地方自治体からも補助金が出るところもあり、あと会社側からわずかな額を補填すれば、通常の給与のほとんどをカバーできるので、会社としても社員の首を切らなくても何とかこれまでやってこれたというところが多い。しかしながら、こういう状況があと半年、1年も続けられるのかというと、私もはなはだ自信がない。
日本のこういった状況は、これまで輸出に大きく依存していて、内需を拡大する努力をしてこなかった政府に責任があるという意見も多く聞かれる。しかし、工作機械業界の統計を見てみると、2007年を境に輸出が内需を追い越すのだが、バブル気味の2008年のピーク時でも、輸出は内需の20数パーセントアップで、それほど極端に輸出に依存していたわけでもなかったのである。
リーマンショックが起きた当時、米国やヨーロッパの諸国に比べて日本の経済のファンダメンタルズは決して悪くなく、その影響はそれらの外国諸国に比べて少ないと思われていたのに、ここまで日本の経済が落ち込んだ理由を考えるとき、私は、日本のマスコミの影響が大きいと思えて仕方がないのである。
ここ数年の日本のマスコミの報道の仕方は、特に、外国から見ていると、きわめて偏った過熱報道の仕方をしているように見える。昨年の新型インフルエンザの報道しかり、前述した派遣社員切りの報道、そして経済の部門では、リーマンショック直後のトヨタの赤字転落予想報道をきっかけに、これでもかと言う、さまざまな悪材料を特別番組を組んでの報道。それに少し内容はずれるが芸能界では薬物問題で逮捕された酒井法子の過熱気味の報道振りは、他にもっと報道するべきニュースがあるのではないかと言いたくなってしまう。
昨年来の一連の執拗な不況報道が、視聴者の不安を掻きたて、国民はもとより、企業もいっせいに守りの体制に入った為に、今回のような諸外国では見られないほどの日本の経済の落ち込みを招いたのではないかと思うのは、私だけだろうか? そういう意味ではマスコミの責任は決して小さくないと思っている。
視聴率を少しでも稼ぐためと思われるような、執拗なまでの報道姿勢は大いに反省されるべきであり、各報道機関はそれなりのしっかりとしたスタンスで、自覚を持った報道に徹してもらいたいと期待してやまない。
ある名古屋の大手機械商社からの情報では、設備関係の需要が回復するにはまだ、1年から1年半くらいかかり、機械関係の半年以上の納期を考慮すると、実際にお金が回り始めるのは2011年になってからという信じたくないような話も先週入ってきた。
昨年末以来の景気の落ち込みが急激だったので、日本の状況がいったん明るくなれば、立ち上がりも結構早いのではと淡い期待を持っている。そのためには、景気指標が上向きになると同時に、国民と企業が、安心感を抱くようポジティブな報道をマスコミが行って、まず、内需を活性化することから始めるのが必要ではないかと思うのですが、皆さんはどう思われますか?
以上
日時: 2009年11月13日 00:35 | パーマリンク
