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2007年12月10日 08:47に投稿されたエントリーのページです。他にも多くのトピックエントリーがあります。メインページやアーカイブページをご覧下さい。
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「会計の2009年問題」が話題になっている。欧州連合(EC)は2009年以降、域内で資金調達する外国企業には国際会計基準または同等の会計基準の適用を義務付けることにしている。欧州で事業を展開する日本企業は待った無しの事態に直面していることになる。
日本は過去の商習慣や伝統を重んじ、西欧流の会計基準に合わせることを拒んできた。しかし日本企業の米子会社は、しばらく前から国際基準に最も近いとされる米国基準に準拠した決算書を作成してきたことや、上記のEC方針が明るみにされ、孤立を回避するために、ついに2011年6月末までに、日本も国際基準との全面的な共通化を実現することに踏み切った。
先日、NECが米会計基準に則った開示を決算書に織り込むことができず、米株式市場での預託証券の上場を断念する事態が報道されたが、国際基準を満足しないと同じような例が多発するおそれもある。
日本の基準と国際基準の間には基本的な点で大きな差異がいくつかある。そのひとつが、企業買収の際に発生し勝ちな、被買収企業の純資産と買収価格との間に生じる差額、いわゆる「のれん代」の処理である。この「のれん代」は、日本のこれまでの会計基準では最長20年間で償却するが、国際基準では償却をせず、定期的にその価値の見直しを行い、価値が減少した際にはその会計年度中に減損処理をすることになっている。日本の考えが、のれんの価値は時間の経過に従って減じるとして、その減額分に相当する規則正しい償却費を計上するのに対して、国際基準では、買収した事業が存在する限り、買収時に評価したのれん代相当分の価値が存続して全体の事業に寄与し続けているという考え方だ。
この結果、日本基準では企業買収をした企業では、当期の税前利益から毎期毎に償却費が差引かれて決算書が作成され、法人税もその分減額される。こうして作成された決算書を今までは海外向けには国際基準に修正して公表する必要があった。海外の投資家には日本の処理方法は通じないからだ。
NECの上場廃止の理由にもあるように、国際基準は株主や投資家保護の観点から、より詳細な情報の開示を求めている。そのような例として、今回は、事業経営者だけでなく、投資目的で企業の決算書を目にする一般の投資家にも影響を及ぼす事業損益の表示方法の変更について記してみる。
今までにも外国企業のアニュアル・レポートをご覧の方は、それらの企業の損益計算が税引後利益だけで完了せず、その後に「Comprehensive Income」の記載があることに気付いておられたはずだ。これが日本では「包括利益」と呼ばれている、米国基準や国際基準が定める企業の損益を表示する方式である。これは単なる表示方法の違いだけではなく、「企業の利益」に対する大きな考え方の違いから出たもので、今回の国際基準への転換でも最も議論を呼ぶ相違点になっている。
日本の現行の表示は、我々が学生時代に学んだ方式で、企業の「税引後純利益」とは、総売上から総原価と総経費、そして当期の税金を差引いた結果で、この損益が決算書に転記されてきた。ところが、欧米では損益計算書は企業の損益を算出する上での途中のプロセスに過ぎず、貸借対照表上の当期中の資産と負債の差額である純資産の変動を「利益」と呼び、これを総括利益を称して表示してきた。貸借対照表をより重視する考え方から出ている。
包括利益は、当期利益(日本流の損益計算書から算出される利益)と「その他の包括利益」から構成されている。その他の包括利益に含まれるものには次がある(米国会計基準の例)。
1. 為替換算調整額
2. 外国企業への純投資の経済的ヘッジから生じる為替損益
3. 内部企業間における外国通貨取引から生じる為替損益
4. キャッシュ・フロー・ヘッジを適用したデリバティブの公正価値(Fair Market Value)変動額
5. 企業年金会計における追加最小負債の純損失
6. 売却可能有価証券の未実現保有損益
7. 償還期限まで保有する予定だった有価証券の売却可能有価証券への変更に際して発生した未実現保有損益
8. 過去に減損処理した売却可能有価証券のその後の公正価値の増減額
このように、包括利益とは、企業と株主の間の取引(株主からの出資や、株主への分配)を除く、企業の資本を増減させるすべての取引をその企業の利益の算出に含める方式である。従来の損益計算書には反映されない未実現損益や評価損が反映されることから、事業当事者でない外部の者、例えば一般の投資家には、投資先の企業の実態がより明確に把握できるメリットがある。一般の投資家を重視する欧米の姿勢が現れた結果だ。
今までの慣習に慣れた日本の経営者にはこの包括利益への抵抗感が大きい。会計年度毎に各種の評価見直しの作業が増える煩わしさに加え、企業の台所事情をつぶさに外部に公表することになるからだ。
企業間で株を持ち合う場合の多い日本企業では、持ち合い株の含み資産が存在するのが通常だ。又、保有する有価証券の含み益も大きい。このような含み益が不況時や採算の苦しい時期の決算書に寄与してきた。国際基準に移行後は、これらの変動は毎期の損益に反映されることになり、いわば粉飾決算に近い決算書のお化粧が許されなくなる。含み益だけでなく、隠れた不良債権や減額した不良資産、あるいは過小評価の負債の存在もより早い時期に外部に明るみにされることになる。決算書を活用する側の投資家にとっては、透明度が高まることは大いに結構なことであろう。
包括利益の標準的な記載要領は次のようになる。
XXX, Inc.
INCOME STATEMENT
FOR THE YEAR ENDED DECEMBER 31, 20XX
Sales revenue $700,000
Cost of goods sold 500,000
Gross profit 200,000
Operating expenses 120,000
Income tax expense 30,000
Net income $50,000
XXX, Inc.
COMPREHENSIVE INCOME STATEMENT
FOR THE YEAR ENDED DECEMBER 31, 20XX
Net income $50,000
Other comprehensive income
Unrealized holding gain, net of tax 40,000
Comprehensive income $90,000
以上
日時: 2007年12月10日 08:47 | パーマリンク
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