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2008年01月18日 11:25に投稿されたエントリーのページです。他にも多くのトピックエントリーがあります。メインページやアーカイブページをご覧下さい。
« 国際会計基準への転換 - 会計の2009年問題について (塚越 至) | メイン | 紐育(ニューヨーク)と大阪 - 廣川 謙一 »提携・合弁を考える - 廣川 謙一
提携とか合弁は不思議なものである。昨日まで競合していた(あるいは潜在的に競合関係にあった)会社同士が、今日からはパートナーとして一緒に仕事をすることになるのであるから、面白い現象によく遭遇する。
私は一九八五年から三菱重工業とキャタピラー三菱との合弁改定に係わった。面白い現象とは、昨日までキャタピラーがいかに優れていて自社がどれくらい遅れているかという事をいっていた三菱出身の人が、合弁を作るぞという段階になると、同じ人が掌を返したように、いかに自社が優れていて相手はだめかという議論をはじめたことである。以後、マッキンゼーやGE等で二十以上の合弁・提携を見てきたが、事業計画などに合弁設立前は「あの会社はすごい会社。うちの脅威!」などと言っていたのに、交渉になると突然「わが社は世界で一番優れた会社」に変身してしまうのを何度も見てきた。合弁とか提携の交渉でこの様な議論が出てくるのは、心情的にはよくわかる。交渉を自分に有利に運びたいという気持ちがあるからである。しかしこの議論を繰り返していても建設的な合弁・提携には至らない。これをどの様に打ち破るかは合弁・提携成功の大事なステップになる。
この様な状況を克服するためには、そもそも何故提携・合弁の話をしなくてはならなくなった事情を振り返ってみると良い。たとえば、三菱とキャタピラーの場合は、それぞれ単独ではなかなか小松の脅威を無くせなかったからではなかったか。それでは、キャタピラーも三菱も小松に比べれば大したことはないのではないか。大事なのは、顧客に小松ではなく新しい合弁の製品を選んでもらうことではないか。そのためには合弁の製品、組織、運営方法を、新たに対顧客、対競合という視点で考え直すということではないか。どちらかを選択しても、結局はその欠点の拡大に寄与しても、本質的な解決にはならない。むしろ、新たにビジョンを作りお互いどのリソースを出し合って、どのように組み合わせたら、顧客に選択してもらえるか、小松に対して優位に立てるかを、一緒に考えることであろう。実際、播州平野のど真中で、何週間かマーケティング、営業、技術の各部門の人間を缶詰にして侃侃諤諤の議論をしたのを覚えている。
この様な作業を一定期間一緒にやって見ると、副次的な効果も出てくる。仲間意識が芽生えることである。これがその後の合弁・提携運営への移行をスムーズにすることに役立つということは容易に想像がつくと思う。GEなども意識的にこのような事を行っている。ビジネスパートナーと会社から離れた場所で、両社の関係者を缶詰にしてワークアウトを行うのである。
* * *
多くの合弁・提携の交渉や設立後の運営がうまくいかないのは、「むこうの会社」と「うちの会社」という意識から、われわれという意識への頭の切替えがうまくいかないからだ。われわれとして現状認識が共有できれば、後は一緒に知恵を絞って考えることである。一緒にという点は、いくら強調しても強調しすぎることはないと思う。キャタピラーと三菱重工業との合弁が四十年以上も長続きしているのは、一緒にビジネスをするための工夫が随所に埋め込んであるからだ。
(二〇〇八年一月二日)
日時: 2008年01月18日 11:25 | パーマリンク
